「ねぇ、あの首から下げてるカードなに?
デカデカと名前が書いてあるじゃん。ダサ」


上靴の色からして、三年生だと思われる女の集団が、私達を見て笑っているようだ。


「ほら、あの真ん中の子。
顔がわかんない障害があるんだってさ。
そんなのホントにあるのかしらね。
どうやって生きてくつもりなのか知らないけど、周りに恥ずかしい思いをさせて、なんとも思わないのかしら」


ギュッと唇を噛みしめる。

私だけのことならいい。
協力してくれるクラスメイトまで悪く言われるなんて耐えられない。


「莉子、行くよ」


きっと同じように聞こえているはずの千春が、私の手を強引に引く。
芽衣はうつむいて険しい顔だ。

だけど私は一歩も動けなかった。