「莉子ちゃん。
辛いこともあるかもしれない。だけど……あなたはこのままでは終わらない」
ずっと優しく接してくれた夏未先生の厳しい言葉は、ずっと私の心に残るだろう。
私は……このままでは、終わらない。
終わったり、しない。
その日、私は母に退院することを告げた。
「お母さん、私……迷惑かけるかもしれないけど……」
「なに言ってるの。
莉子はお母さんの大切な娘なの。
迷惑だなんて思ったこと、一度もないよ」
笑っているのに涙がこぼれている母は、小さな頃のように私の頭を何度も撫でた。
そして、その晩来てくれた哲哉先輩にも、退院することを話した。
「そうか。俺が一緒にいる。だから、心配するな」
哲哉先輩の笑顔を見て、私は学校に行くことを決意した。