先生は、正直に社会の厳しさを教えようとしてくれている。
辛いことだけど、知っておかなければ生きてはいけない。


「理解してくれない人と無理に仲良くしなくたっていい」


夏未先生は予想外の言葉を口にした。


「ほら、別に顔がわかったって、嫌いな人は嫌いでしょ?
だから、みんな仲良くなんてきれいごとは言わない。

莉子ちゃんが傷つくなら、そんな人からは逃げればいい」


「逃げる?」

「そう」


逃げても、いいの?


「逃げるのは全然恥ずかしいことじゃない。
莉子ちゃんの正当な権利なの。
わざわざ不幸になりにいく必要なんてないんだよ」


そっか……。
逃げれば、いいんだ。


先生のおかげで肩に重くのしかかっていた荷物が、少しだけ軽くなった気がした。