「もうすぐ夏休みでしょ。一度学校に行ってみない? 
最初はすごく疲れると思うから、すぐに夏休みになるのは好都合だと思うの」

「でも……」


退院は承諾しても、学校となると話は別だ。


だって……千春と芽衣の区別がつくようになったからといっても、それはふたりだけで来てくれるからで、四十人ものクラスメイトの中から判別できる自信はない。


「厳しいことを言えば、世の中には、見た目にはわからない病気や障害を理解してくれない人もいる。
だから、"努力が足りない"なんて傷つくような言葉を、平気で投げかけてくる人もいる。
だけどね、理解しようとしてくれる人だっていっぱいいるの」


思わず息を呑む。