それから二週間。

その日、テレビの天気予報が梅雨明けを伝えていた。

今年の梅雨は、ほとんどを病院の中で過ごしてしまった。
事故からもう一ヶ月が過ぎていた。


『雨女』と響ちゃんに何度も言われていたことを思い出し、窓から空を見上げると、まぶしいばかりの太陽が燦々と輝いている。


「雨女じゃないって言ったじゃん」


響ちゃんは、どうしているだろう。
顔の浮かばない響ちゃんの声を思い出そうとしてもうまくいかない。


「莉子ちゃん」


ノックのあと顔を出したのは、多分夏未先生だ。
何度も来てくれる先生は、声のトーンで随分わかるようになった。


「夏未先生?」

「正解。すごいじゃない」