「俺が莉子を支えるから、頑張ろう」
「哲哉先輩。今、なんて?」
聞き間違いではないだろうか。
確かに『俺が支える』と聞こえたんだけど……。
「一緒に頑張ろうって言ったんだよ」
先輩は恥ずかしそうに微笑みながら、私の頭を撫でた。
「それじゃあ……」
別れ話をされると覚悟していた私は拍子抜けしてしまう。
「遅くなって、ごめん」
私はたまらず布団を頭からかぶった。
先輩に泣き顔を見られたくなかったからだ。
響ちゃんのことを忘れるための交際だったのに、哲哉先輩に出会えたことを感謝した。
白いエナメルバックを持った先輩は、それから毎日来てくれた。
一年半後の受験に向けて通い始めた塾が終わってからということで、面会時間ギリギリが多かったけれど。