学校の帰りは、芽衣と千春と一緒だ。
響ちゃんは、和代先輩と一緒だから。


陸上部の練習にすっかり出なくなってしまった彼は、部活に入っていない私と、帰りの時間が一緒になることがしばしばある。

ふたりの姿を見かけると、とっさに隠れた。
ふたりのラブラブな姿なんて見たくない。


「莉子、でもさー」

一緒に隠れてくれた芽衣が口を開く。


「響先輩、楽しそうに見えないんだけど」


そう言われると……そんな気もする。
響ちゃんが和代先輩といて、笑っていることなどまずない。


「響ちゃんはクールなんだよ。ほら、ツンデレってやつ?」なんて自分で言っておいてへこむ。


ふたりだけの時は、和代先輩の前でもあの優しい笑顔を見せていると思うと、胸が痛い。
口角を少しだけあげて笑う響ちゃんの笑顔は、私だけのものだったのに。


無気力な響ちゃんと、彼を好きな私。
そして、彼を射止めた和代先輩。

変わらない関係がその後も続いた。