私は小さく頷いた。
先生の言っていることはもっともだ。
現実的にできるかどうかは別として。
「とにかく焦りは禁物。
莉子ちゃんはフェイスブラインド初心者マークつきなんだから」
『初心者マークつき』なのか。
先生が言ったように、他の機能がもっと発達してくれば、少しは余裕もできるかもしれないのだけど。
ひとつひとつの出来事に混乱して落ち込みながら、もしかしたら少しずつは前に進めているのかもしれない。
まだ自分の状況を完全に受け止めきれてはいないけど、この先どうしたらいいのかを少しは考えるようになってきたから。
それから一周間後、二十時の面会時間終了直前に、訪問者があった。
ノックに返事をすると、清和高校の制服を着た男の子が入ってきた。