「あきらめるって、ホントはすごく勇気がいることなんだよ。
必死に努力した人にとってはね」


先生の言葉は深い。
その通りだと、思う。


「こういう病気とか障害とか、隠しておく人ってすごく多いの。
だけど、どうしても他の人より不自由な部分だとか苦手なことがあるから、周りには"できない人"というレッテルを貼られちゃう。
そんなの悲しすぎる」


心に傷を抱えてきたたくさんの患者と触れてきたであろう先生は、悲しげな顔をして視線を宙に舞わせる。


「先生、私……どうしたらいいの?」


涙が止まらなくて、声が震える。
それでも、先生と話したい。


「そうだねー。
莉子ちゃんはフェイスブラインドになってしまったけど、あなたに非があるわけじゃない。
それなら堂々とカミングアウトすればいい」