千春と芽衣は、授業に出ていない私のレポートを、毎日少しずつ手伝ってくれている。
「はい。ありがとうございます」
こうしてレポートを出して、単位を稼いだところで、学校に復帰できるのかすらわからない。
「いやー、阿部と島田の押しが強くて。長瀬、いい友達持ったな」
そんなに頼んでくれたんだ。
「だけど、他にも頭下げに来たヤツがいてな。
そいつなんて、全教科の先生に直談判してたぞ」
千春と芽衣の他にも?
「誰、ですか?」
「うーんと、二年の確か……」
哲哉先輩?
一瞬ドクンと心臓が打った。
「新山、だったかな……」
「響ちゃん……」
「彼氏か?」
先生はにっこり笑いながら、茶化すように聞く。
「いえ、幼馴染で……」
「なんだ、そうか。若いっていいなと思ってたのに」
そう言う先生だって、十分若いのだけど。