それからは少しずつ落ち着きを取り戻していった。

とはいえ、ちょっとしたことで“どうしてこんなこともできなくなっちゃったんだろう”と落ち込むこともあった。


千春と芽衣は、毎日ノートを持ってきて、学校の話をしてくれた。

千春は、私がいなくなってから数学を頑張っているらしい。


「平松先輩、来た?」

「ううん……」


哲哉先輩は私の予感が当たったようで、あれから顔を出さない。


「そっか……」


「はーっ」と溜息を吐く芽衣に、私は笑ってみせた。


「大丈夫だよ。私には千春や芽衣がいるもん」


そう言いつつ、胸が痛んだ。
やっぱり私は……もう今まで通りの生活なんて、できない。


そして、響ちゃん、も……あれから一度も来ていない。