「誰よ!」
鏡を思い切りたたくと、手に衝撃が走って顔をしかめる。
「誰……なのよ」
ワナワナと座り込むと、ポロポロと涙が溢れてきて止まらなくなる。
「長瀬、さん? どうされました? 気分が悪いんですか?」
夜の見回りをしていた看護師に見つかった私は、引きずるように病室に戻される。
「どうしよう……どうしよう、私」
薬が切れた反動なのか、自分でも興奮が抑えられない。
「落ちついてください」
もうひとりの看護師もやってきて、私をベッドに押さえつける。
「イヤ、イヤなの!」
押さえられれば押さえられるほど、興奮が高まっていく。
「夏未先生にコールして」
ナースコールのボタンを押した看護師は、応対した看護師にそう言った。