「莉子、あんた辛くないの?」
休み時間になると、芽衣は溜息をついている。
「なにが? 芽衣よりは英語できると思うけど?」
「そうじゃなくて。響先輩だよ」
芽衣はちゃんとわかっているのだ。
私が響ちゃんを目で追っていたことを。
「辛いもなにも、仕方ないじゃん。響ちゃんが好きなのは、和代先輩なんだから」
“全然平気”というような顔をしてみたところで、ホントはちっとも平気じゃないわけだから、気分が落ち込むだけだ。
「そうだけどさ。だけど響先輩も、ある意味残酷だよね。
ずっと莉子と登校し続けてるんだもん」
「いいの。それまでなくなったら……」
それが響ちゃんとつながっていられる唯一の時間なのだ。