ありがたい。
ふたりとも私のために、こうして毎日来てくれるのだから。
「入院してる莉子を甘やかすのもどうなのと思って、ノート持ってきたから」
千春が差し出したのは、彼女達のノートのコピー。
「文系は千春。理系は、私担当ね」
英語の苦手な芽衣は、化学が得意だ。
「ありがとう!」
もうすでに一週間休んでいる。
いつ退院できるかもわからない私には、とてもありがたい申し出だった。
だけど……顔が認識できないのに、多くの人がランダムにまぎれる学校なんて、行けるのだろうか。
ふと不安がよぎったものの、私は笑顔を作った。
一週間分のノートのコピーは膨大な量だった。
「わかんなかったら教えてあげるから」
「へぇー、芽衣が大きな口たたいてる」
得意げに語る芽衣に、千春が笑う。