次の日の朝は、配膳のワゴンの音で目覚めた。
薬のおかげでぐっすり眠ることができたようだ。
「長瀬さん、起きられましたか? お食事です」
看護師がテキパキと働いている。
「それと、野上先生に食事までは起こさないでと指示されていたので、検温がまだなんです。
これ、お願いしますね」
看護師は私に食事と体温計を渡して出て行く。
私も、白衣を着てこうやって働きたかった、な……。
看護師の後姿を見ながら、唇を噛みしめた。
朝食はご飯と薄味のシャケ。
それと、豆腐の味噌汁と、ホウレンソウのお浸し。そして、ヨーグルト。
栄養が考えられている食事も、少しも食べたくはない。
体温計を脇にはさむと、ベッドサイドのテーブルに、バームクーヘンが置かれているのに気が付いた。