「よかったー。莉子ちゃんそういう人がいて。
莉子ちゃんみたいな真面目な子は、お父さんやお母さんだと、心配かけたくないって、気持ちにブレーキかけちゃうから」
その通りだ。
父と母には、本当の胸の内は話せそうにない。
「でも……もう来ないでって言っちゃった……」
あの時の発言を後悔していた。
和代先輩とのキスを見てから、ろくに会話を交わすこともなかった響ちゃんとやっと話せたのに。
「大丈夫」
夏未先生は私の腕を取って、脈を計りはじめた。
「莉子ちゃんが心を許せるってことは、その幼馴染だって、きっと同じ。
きっと莉子ちゃんの辛い気持ち、よくわかってると思うよ」
響ちゃんの顔は浮かばないのに、涙だけが思い浮かぶ。