看護師が行ってしまうと、響ちゃんは私の手を強く握る。


「莉子。絶対に死ぬな。死なないって、約束しろ」


命令形なその発言に、私は小さくうなずいた。
響ちゃんの切れ長の目から、もう一粒涙がこぼれたからだ。


「莉子、約束だぞ」


もう一度念押しする響ちゃんは、眉間にシワを寄せている。


私だって、死にたいわけじゃない。

だけど、どうやって生きていったらいいのかわからない。
わからないの!


「わかった。約束するから、帰って!」


もうこれ以上、響ちゃんの苦しげな顔を見たくなかった。
彼が深刻そうな顔をすればするほど、私の絶望は深くなる。


暴れなくなった私の手を離した彼は、私を心配そうに見つめながらゆっくり離れていく。