とめどなく溢れてくる涙が、シーツに吸い込まれていく。
響ちゃんはひどく困った顔をして、私を黙って見つめていた。
顔の表情を見分ける機能は失われていなくてよかったと思ったけれど、こんなに辛そうな響ちゃんを見るくらいなら、わからなくてもいい思ったほどだ。
「フェイスブラインドなんだって。
もう治らないって。どうしよう」
千春や芽衣には、ここまで不安をぶつけられなかったのに、響ちゃんだとわかった瞬間、今まで我慢していた感情が一気に溢れてきた。
「莉子、落ち着いて。フェイスブラインドって、なんなんだ」
当たり前の質問をされているだけなのに、なぜだか怒りが込み上げてくる。
「顔が判別できなくなっちゃったの!
どうして、どうしてなの? どうして私だけ……」