「莉子、目が見えないのか?」
ベッドの横まで来て、心配そうに私の顔を覗き込むその人は、やっぱり響ちゃんなのだろうか。
もしかしたら声でわかるかもしれないと、注意深く耳を傾けてみたけど、体格が似ているからか、元々ふたりの声は似ていて区別がつかない。
顔が識別できない今、絶対に響ちゃんだと言い切るほどの自信が持てない。
「ううん。目は見えるの。
でも……顔を識別できなくなっちゃった」
そこにいるのが哲哉先輩であろうと、響ちゃんであろうと、隠しておくわけにはいかない。
「どういう、ことなんだ……」
目を見開いたその人は、「俺は響だ」と教えてくれた。
響ちゃんを間違えるなんて……サイアク、だ。
「響ちゃん……」
「莉子、どうしたんだ」
「響ちゃん、私……」