「莉子ちゃん、いいお友達ね。たくさんお話ししてね」


夏未先生は、病室を出て行った。


「莉子……私達、莉子がそんなことになってるって知らなくて……」


しっかり者の千春はこういう時も一番落ち着いている


「ううん。来てくれて、ありがとう」


ふたりの顔がわからないのは正直言ってショックだ。
だけど、一緒に作ってきた思い出が残っていることに感謝しなくては。


「莉子―」


いつまでも泣いている芽衣の頭を千春が優しく撫でる。


「一番辛いのは莉子だよ。芽衣、私達は莉子を助けなくちゃ」

「……うん」


千春の言葉に顔を上げた芽衣は、目が真っ赤になってしまっていた。


それからしばらくは誰も口を開かなかった。
いや、開けなかった。