父や母に話せないことも、彼には話せたし、話すことで安心して生活を送ることもできた。


勉強だって……できの悪い私を「こんなもんも解けないのか?」なんて言いながら、誰よりも優しく丁寧に教えてくれた。
特に数学は、響ちゃんのおかげで得意科目になった。


生活の多くの時間を彼と共有していたから、響ちゃんの方も、もしかして私のことを好きなんじゃないかって、勝手に思っていた。

でも……和代先輩に告白されて付き合うことになったとき「妹みたいなやつだ」と言われて、激しくショックを受けたのを覚えている。


彼にとって“妹”だから、彼女がいるにもかかわらず、こうして一緒に登校することができるのだ。