「おばさん、おはよー。響(きょう)ちゃんは?」
「莉子(りこ)ちゃん、おはよ。
響(ひびき)、まだ起きてこないのよ。
悪いけど起こしてくれない?」
「はーい」
隣の家に住むひとつ年上の新山響(にいやまひびき)は、幼馴染み。
小さいころからずっと一緒に遊んでいた私達は、高校生になっても縁が切れることはない。
私はひとつ年上の響のことを、「きょうちゃん」と呼んでいる。
今年から同じ高校に通い始めた私は、朝の弱い響ちゃんを起こすのが日課になっていた。
「響ちゃん、入るよ」
いつものことながら返事のない彼の部屋のドアを、思いっきり開ける。
「朝だよー。遅刻する!」
全く反応のない響ちゃんの掛布団を思いっきり引っ張った。
「あ……」
「朝からうるせぇなぁ」
「ごめん」