教室に戻るのが億劫で、5時間目はさぼることにした。
部室に行くか悩んで、でも暑かったから保健室に行くことにした。保健室のドアを開けたら、なんでか知らないけど、順平くんがいた。
「よお、真夏じゃないの。どうした、さぼりか?」
ぼりぼり、お菓子を食べながらソファの背もたれにもたれかかって、顔だけこっちに向けてる順平くん。
「なんでいるの順平くん」
「松田先生が出張中だからな、代わりに保健室の守りを任されてんの」
「うそつけ。順平くんこそさぼりじゃん」
「うそじゃねーし順平くんって呼ぶな! 学校では高良先生って呼べって言ってんだろ」
「はーい、タカラセンセ」
みっつあるベッドは全部空いていた。そのうちの一番奥のやつに寝っころがる。
シーツは真っ白な綺麗なやつだ。しわもなかったから今日は誰も使っていないみたい。かび臭くもなくてお日様のいい匂いがする。
涼しくて心地良いな。静かだし。余計なもの何にもなくて。
息を吐く。目を瞑る。寝返りを打って、もう一度目を開くと、窓の外の青い景色が目に映った。
真っ青な空だ。濃い青色。まるであの日みたいな、息も止まりそうな夏の景色。