「今度は昴センパイに、スバルがいる」
じわっと、一層熱くなったのは、決して気のせいなんかじゃない。
真夏くんの手のひら、まるで魔法みたいに、それに触れられたとこだけ焼けてるみたいに熱くなる。
泣きそうなくらい。こんなに、優しい熱なのに。
「昴センパイ、大丈夫だよ」
何がって、訊くこともできなかった。声は出ないまま、真夏くんが見上げた先を一緒に見てみた。
雨の日の夕暮れ時。小さな小さな、ふたりだけの宇宙の中。
「怖くなんかない」
明かりを全部追い出して、光を閉じ込めた手作りの夜空。
いくつもの光は消えないまま、瞬いて、ぐるぐると小さな世界を泳いで回る。
「真っ暗闇じゃないよ」
360度に広がる、たくさんの星を。
あたしはずっと、真夏くんと見ていた。