こんな天気だからさすがに今日はやらないよなあ。

一回屋上まで行ってみようかとも思ったけれど、雨の中の天体観測はあの真夏くんでも無理だろうって思い直して、帰り支度をしてから下駄箱に向かった。

雨で中止になった部活も多いのか、いつもよりもこの時間に帰る人が多い気がする。

昇降口にはたくさんの人。外に出れば色とりどりの傘。

あたしはそれを眺めながら、スリッパを脱いで、代わりに一番上の高い下駄箱から履き潰したローファーを取り出した。


すると、いつかのときと同じようにするりと落ちてくる1枚の紙。


「…………」


ローファーをしまって、脱いだばかりのスリッパを履いて。見覚えのあるそのメモ用紙を拾ってから下駄箱を少し離れた。

帰る人たちのジャマにならない昇降口の隅の自販機の横で、ちょっと辺りを見回してから、ペリッと星形のシールを剥がしてみる。


『昴センパイへ

今日は部室でやります。

真夏』


短いその手紙の下には、部室の場所を示しているらしい地図も。

あたしはメモを胸ポケットに入れて、下ろしていたカバンを背負い直して、その地図のとおりに校舎の奥へと戻っていった。