──そのとき、黙ったままだったスマホが鳴った。
慌てて手にして画面の名前を見る。メールの差出人は絵奈だった。
ベッドから上半身だけ落ちたまんまの状態で、スマホを握りしめて「はあ~」と深い溜め息を吐いた。
ああ、何やってんだろあたし。
「……あほみたい」
ベッドからのそのそおりて床に座り直して、絵奈から届いたメールを開いた。絵奈からのメールはいつもかわいいいろんな柄の絵文字付き。
今日も漏れなくかわいかった。いっぱいに打ち上げ花火が上がっていて、その真ん中で存在感を増したこの一言が載っていた。
『今日の花火大会一緒に行かない?』
あ、そう言えば。河川敷の花火って今日だったっけ。全然活動してなかったから日付の感覚忘れてた。
外では、数日前から大盛り上がりだったと思うのになあ。あたしまったく、気づかなかったよ。
「…………」
画面を見たまま少し悩んだ。それから、返事を打った。
『いいよ』
そろそろ外に出たほうがいいって自分でもちゃんとわかってる。絵奈との花火なら気分転換にもなるし、楽しめるはずだ。
気持ち、切り替えていかなきゃ。
大丈夫、何も変わりなんかしてないんだ。
何もかも、元に戻っただけなんだから。