……だけど、そう。夢はいつもそこでは終わらないんだ。


走りながらあたしは、また景色が変わっているのに気づく。

いつの間に? わからない。でも確かに変わっている。


太陽がない。空が青くない。道も消えた。足も、止まる。


……これは、なんなんだろう。ここはどこだろう。

あたしの光どこに行ったの? 真っ暗で何も見えないよ。どこに向かえばいいの? 道はどこにも伸びていない。

これじゃ、走れない。


立ち止まったあたしを見下ろすのは、あの青い景色とはまったく違った暗闇だった。

世界を照らしていた大きな太陽は消えて、続くのは伸ばした指先さえ見ない真っ暗闇ばかりで。

不安が、体の中全部、細かいところまでもやもや流れて埋め尽くしていた。怖いよ、このままじゃ、進めない。

あたしはその場に立ちすくんで、ただ、身動きがとれずにいた。


でも、ふと……何かが目の端に映った。

なんだろう、あれは、って。つられるように顔を上げて、あたしはやっと、それに気づく。


ああ、大丈夫だ。

なんでかもわからない。でもそう思って、体中のもやもやが全部消えて、止まっていた足は、ゆっくりと動き出す。

上を見上げたまま、まだ、どこへ向かえばいいかわからないけど。

走れなくて、少しずつ、歩きながらなんだけど。


あたしは、真っ暗闇にぽつんと浮かんだ、小さな小さな、小さな光を、追いかけて、歩き出すんだ。