数日後。
今日は、数学のテストが返ってくる日。


生徒が名前を呼ばれ、ひとりひとり先生から答案用紙が返却される。


あれだけ勉強したし、何より柊先輩に教えてもらったんだから大丈夫。


さっきから自分にそう言い聞かせて落ち着こうとしてるんだけど、どうしても“赤点”やら“追試”やら“補習”などの言葉が頭によぎる。


「西崎ー」


「はーい」


私と同じぐらいの脳みその西崎が呼ばれた。


答案用紙を受け取り、点数を確認。
明らかに嬉しそうな顔になるのが見えて、自分の席に戻ってきた西崎に、私は声をかけた。


「西崎っ!何点だった?」


「ふふふ。聞いて驚くなよ? 70点♪」


「ええっ!? ちょっ、嘘でしょ!?」


西崎のテストを見せてもらうと、確かにそこには赤ペンで大きく70と記されている。


嘘……。西崎とは1年生の時も同じクラスだったけど、こんな良い点数取ってるのは初めてだ……!


「浮かれてるお前に負けたくなかったからな、俺も頑張っちゃった」


「浮かれてないし……」


くそー、西崎ってやればできる子なんだよね。


でも、私だって!
いっぱい弁償したんだもん!


「三島ー」


「は、はいっ」