先輩の好きなお菓子って何だろう。
チョコ系?それともフルーツ系の爽やかな甘さのほうが好きかな?
というか、その前に甘い物が苦手とかだったらどうしよう。


いろんなことを考えた結果、私が作ったのは一般的なプレーンクッキー。
サクッとしたのじゃなくて、少ししっとりとした食感のものを目指した。クッキーのパサパサ感が苦手って人もいたりするからね。


もともと家の手伝いで、時々料理はしてるから、お菓子も失敗することなく人並みの出来に仕上げられたと思う。


簡単にラッピングをして、あとは先輩に渡すだけ!


「内村先輩は、今日も部活?」


「うーん、多分そうだと思うけど」


菜々の質問に曖昧ながらも答える。
先輩が今のところ部活を休んでるところは見たことないから、部活自体が休みじゃない限り体育館へ行けば会えると思う。


「でもなぁ、梨花先輩の前で渡すのはちょっとなぁ……」


恋敵、梨花先輩。
梨花先輩が柊先輩のことをどう想ってるのかは知らないけど、柊先輩が梨花先輩を好きでいる限り私のライバルであることには変わりない。


体育館で渡すとなると、その梨花先輩に確実に見られるし、かといってわざわざ3年生の教室に行くのは勇気がいる。


「よし、体育館へ向かおうとする先輩を廊下で待ち伏せることにする!」




……そうして、放課後がやってきました。