『乗って。この先のチェックポイントまで連れてくから』


『ええっ!?そんな、悪いです!』


確かに、チェックポイントまで行けば先生がいるから、手当てはしてもらえる。
だけど、次のチェックポイントまでは結構な距離だ。


『大丈夫です!ひとりで歩けますから!』


『立つのもやっとなのに?』


『うっ……だ、大丈夫ですから!』


先輩に迷惑をかけるわけにはいかないもん。


と、思った次の瞬間、身体がふわっと持ち上がるのを感じた。


『……!!?』


お、お、お、



お姫様だっこ~!!?



見事に私を抱えた先輩は、私を気遣いながら歩き始める。


『お、おろしてください!歩けますよ!』


『いいから。おとなしく先輩の言うこと聞いてろ』


私を軽く見下ろしながら、小さな子どもに言い聞かせるみたいな柔らかい口調で言う名前も知らない先輩。


しっかりとした腕をはじめ、先輩の身体に触れている箇所から熱が伝わり、心臓がドキドキいってる。


時々通り過ぎる先輩の友達らしき人が私たちを見てからかってきても、それでも先輩はきちんとチェックポイントまで私を抱えて連れて行ってくれた。


『ありがとうございました。あの、今度お礼を……』


『いいよ、そんなの。じゃあ、お大事に』


そう言って、先輩は少しだけ微笑んで、走り去っていった……。