「そんな……」


非情な言葉と態度に、思わず声が零れてしまう。

救いたいのに救えない。

学年主任の冷たさに唇を噛み締めると……


左隣に立っている会長が、ポンッと私の肩に手を置いた。

そして……会長は、学年主任ではなく、教頭に話しかける。


「教頭先生。命の大切さを学ぶのも、大切な事ではないでしょうか」


そう、だ。

説得すべきは学年主任じゃない。

まずは教頭先生だ。

そして、教頭先生を説得できて初めて校長の元へと話が通る。

校長がそこでイエスと言えば、子猫を助けることができるんだ。

私が今気づいたそれを、三重野先輩もわかっているんだろう。

三重野先輩は背筋をピンと伸ばし、落ち着いた声で話す。


「猫の面倒は私たち生徒会が責任をもってみます。ですから、しばらくは私たちに任せてはいただけませんか?」

「しかしなぁ……」

それでも悩む教頭先生に、また学年主任が鼻で笑った。

しかも、今回は嫌味をたっぷりとこめて。