ひぐらしの鳴く夕暮れ時、校舎から出た私の目に飛び込んできた光景。


上下の作業服に身を包んだ大人が、小さな猫を連れて正門をくぐる姿。


そして、それを見つめる水樹先輩の憂う瞳。


何かあったんですかという私の質問に、先輩は……


『保健所に、連れて行かれるんだよ』


そう、言っていた。


この子たちが、その猫?

あれは、水樹先輩が先生に相談した結果なんだろうか。

だとしたら、確かに別の方法を探した方がいいかもしれない。


だけど、他にどんな方法があるんだろう。

今から飼い主を探すにしても、探している間に先生たちに見つかったら保健所に連れて行かれちゃう。

うちはアパートだから飼えないし、先輩も連れて帰らなかったのを考えると無理なんだろう。

そうすると、あとは生徒会の誰かに……


そこまで考えて、閃いた。