「この子たち、捨て猫ですか?」
「人に慣れてないし違うみたいだよ。でも、いつ様子を見に来ても親の姿がないんだ」
「お母さん猫に、何かあったのかな……」
「そうかもしれない」
聞けば、水樹先輩が子猫たちを見つけたのは1週間ほど前らしい。
その時には少し衰弱していたみたいだけど、先輩がミルクをあげていたおかげか、今は弱っているようには見えなかった。
「あの、この子たちのこと、先生たちは知ってるんでしょうか?」
「多分、まだ知らないと思う」
「じゃあ相談してみます?」
「……ダメだ」
「どうしてですか?」
「保健所に、連れて行かれる可能性が高いからだよ」
保健所という言葉に、記憶がフラッシュバックする。
そうだ。
いつだったか私は見たことがあった。