頻繁に感じる既視感。

けれど、それを感じるたびに振り回されるのも疲れるので、この前みたいに迷惑をかけそうな事以外は気にしないようにする。


「何色がいいですかね」

「そうだなぁ……」


呟きながら、色のリストを見る水樹先輩。

穏やかなその表情に、ふと昨日のことを思い出す。


どうしてあんな泣きそうな顔をしていたのか。

あの時、先輩は何を言っていたのか。


確かめたいけれど、聞いてはいけない気がして。


「水色の文字を白色で囲もうか」

「はい」


私は普段どおりに水樹先輩と接し、平穏な日常を過ごしていた。