「なーにボケたことを」 おじいちゃんは、鮭を焼いていた火を止め、私に向き直る。 「今日は金曜日だろうが」 ……はい? 「さっさと支度してきなさい。まったく、夏休みに入る前からボケるとはなぁ」 え? 今、なんて? ボケているのは私じゃなくておじいちゃんでしょと思いながら、壁にかかった日めくりカレンダーを見れば。 【7月18日金曜日】 一学期、最後の日だった。