ドクン、ドクンと鼓動が騒ぎ出す。
嫌な予感が私の心の中に広がって。
いてもたってもいられず、私は水樹先輩の後を追うために走り出した。
「真奈ちゃん!?」
驚く会長の声に、私は振り返る。
「ごめんなさいっ。水樹先輩が消えちゃう前に止めないと!」
あれが見間違いじゃなかったとしたら、もしかしたら先輩は……
隠される前に止めたい。
その一心で、会長にそのまま伝えてしまったけど、もちろんわけがわからなかったようで眉を顰められてしまう。
「水樹が消える?」
けれど、藍君はすぐに理解してくれたようで。
「神隠しのこと?」
聞かれて私が頷くと、藍君以外のみんなが目を丸くした。
ちゃんと説明したいけど、水樹先輩を見失いたくなくて。
私は戸惑うみんなにもう一度謝ってから、青信号が点滅している横断歩道を渡った。