ひとしきり遊んで複合施設から出た私たちは、店の入り口横に立って次の予定を話し合っていた。
「僕、お腹が減ったのでみんなが平気なら夕飯行きませんかー?」
赤名君の提案に、藍君が「時間が少し早いだろ」と指摘する。
私はその会話を聞きながら、こっそりとスマホを確認した。
……やっぱり、まだ未送信のまま。
こうなったら、水樹先輩に電話してみよう。
そう決心した時──
横断歩道の向こうに水樹先輩の姿を見つけた。
休日なのに、制服姿の水樹先輩を。
水樹先輩は反対側の道路の細い路地に向かって歩いて行く。
その後ろ姿が……
「えっ!?」
一瞬、消えたように見えて。
「今の……何?」
私は、目を見張った。