バーベキューの時にした話。
あれ以来触れていないから、てっきり信じてないのかと思ってたのに。
私の問いに、藍君は私を見ないまま唇を動かす。
「まあ……俺も変なの経験してるから、否定はしにくいだけ」
それはきっと、藍君だけが見た、お姉さんかもしれない人の話し。
「ありがと、藍君」
藍君の横顔にお礼を言うと、その瞳がチラリと私を捉えて。
礼なんて必要ないだろと呟くように言ってから、また視線を正面へと戻した。
線路沿いの道を歩き、やがて駅に到着する。
どうにか雨が降り出す前には家につけるかなと思いながら、私たちはバス停に並んだ。
──その時。
鞄の中に入っている私のスマホが振動していることに気付いて。
もしかしたら、水樹先輩かもしれないと思い、慌てて鞄からスマホを取り出した。