やがて、さっきのおじさんがすぐ近くにある交番から40代くらいの駐在さんを連れてきた。

駐在さんはひとだかりを掻き分けて、しゃがみ込む。


「あー、こりゃひどい」


一瞬──

長く赤い棒のようなものが見えて。


それが、水樹先輩の言っていた矢なのだと気付き……


「……ひどい……」


溢れてきた涙に、じわり──景色が滲んで。

俯くと、零れ落ちた涙が足元のコンクリートを濡らした。


駐在さんがどこかに電話をかけて。

不意に、視線が私たちを捉える。


「発見した高校生って君たち?」


問われ、赤名君が「僕です」と答えた。


……そうか。

赤名君がヤキソバたちを……。

赤名君も子猫たちを可愛がってた。

動揺して、詳しく説明できなくて当たり前だ。