会長も、三重野先輩も、水樹先輩も、藍君も。

みんな、悲痛な面持ちで人だかりを見つめている。

信じられない気持ちで立ち尽くしていると、おじさんたちの声が聞こえてきた。


「かわいそうになぁ。小さい命を何だと思ってるんだか」

「それよりも、頭おかしいのがこの辺におるってことかい?」

「怖い怖い。とりあえず交番に知らせに行って来るわ」


1人のおじさんはそう告げると、踵を返して道路に繋がる階段を上る。

そして、私たちの横を通り過ぎて行った。

何が……


「何が、あったんですか?」


交通事故か、溺れたか。

場所を聞いたとき、最悪のケースはそのどちらかもしれないと思った。

せめて、生きていて欲しいと。

そう……願っていたのに。

藍君から出た言葉は──


「多分……殺された」


とても、残酷なものだった。