「料理、苦手なんだっけ?」
「そ、そんなこと……ないです。サラダとかは得意ですよ?」
おじいちゃんからも唯一作ることを許可されているサラダ。
野菜を切ったり茹でたりした後に、盛り付けて市販のドレッシングをかけるだけだけど。
三重野先輩に「誰でもできるわよ」とか突っ込まれたけど、私はへこたれずにお肉を焼いたのだった。
──結果。
「アンタは何もしないでいいから」
私はお肉を真っ黒に焦がしてしまい、肉焼き係りまでも降ろされてしまった。
しょんぼりしながら会長が焼いてくれたお肉を食べていると。
「んぐ……食べれないこと、ないけどなぁ」
なんと、水樹先輩は私が焦がしてしまったお肉を口に入れて噛んでいた。
「ちょ、ダメですよ! 苦いでしょ!?」
「少しね。でも、せっかく真奈ちゃんが焼いてくれたし」
そう言って、水樹先輩はニッコリと笑う。