「おはよ、真奈ちゃん、赤名」

「おはようございます」

「おはよーございます。あっ、会長が行ってしまうので、僕はお先にっ」


言いながら赤名君はスチャッと右手を挙げ、忍者を彷彿さるような足取りで行ってしまった。

その姿に、水樹先輩は不思議そうに首を傾ける。


「……何してんの、朝から」

「会長のストーカーだって言ってました」

「元気だなぁ。でも、元気で良かった」


先輩もきっと、海での事を思い出しているんだろう。

私は「そうですね」と頷いて、ふと思い出したことを口にする。


「そういえば、隠し撮りしてたムービーってどうしたんですか?」


まだ携帯に残ってるんだろうかと思って聞けば。


「撮ってないよ」


水樹先輩は、ニコッと笑って言った。