"逃げたかと思った"
"出直し"
"同じことを繰り返すつもりか"
これらはきっと、昨日聞いた赤名君の過去に関係しているのかもしれない。
『僕、中学の時にちょっと嫌なことがあってさ。人が苦手だったんだ』
嫌なことというのを、この男の子たちは知っていて。
そのことがきっかけで、赤名君は人が苦手になってしまった。
そして、ニヤニヤしながら過去のことを話題にする彼らは、どう見ても嫌な人たちだ。
「ふーん? まあいいや。丁度いいや。俺ら今困ってんだ。助けてくれんなら、昔のこと水に流してやってもいいぜ」
「あれは僕がやったんじゃ……」
「はいはい。それは腐るほど聞いたから。とにかく、ここじゃなんだし場所変えようぜ」
男の子の一人に背中を軽く叩かれて歩くように促される赤名君。