レア、と言われれば、確かにそうかもしれない。

生徒の間で囁かれているのは赤名君が語ったような内容だ。

昨日までいた人が突然消えてしまう。死体すらない。

そんな話。

でも、水樹先輩の持っていた情報は、消えた人の存在が残らないという。

普通に語られる神隠し話よりも更に不可思議だ。


質問された水樹先輩は、空になったカキ氷の容器を静かに地面に置いて。


「……もう随分前だから覚えてないよ」


そう答えた。

すると、矢継ぎ早に会長が更に問う。


「じゃあ、その情報を探索前に共有しなかった理由は?」

「ごめん。忘れてたんだ」


メッセージを見て思い出したと、小さく笑う水樹先輩。


その姿に、私は違和感を覚える。


この話をしてくれた時、忘れていたという雰囲気ではなかった。

どちらかと言えば、ずっと心にあって、それをポロリと零したような語り方だった気がする。

だけど、その時の様子を知らないみんなは、水樹先輩らしいと呆れ笑った。

そして、会長は立ち上がると私たちを見渡しながら話す。