「あのっ、藍君が見た女の人も、神隠しにあった可能性はあると思います」


生徒会のみんなに向けて、言葉を発した。

当然、みんなの視線が「どうして?」と問いかけてくる。

私はとにかく、納得してもらえるようにと、頭の中で要点をまとめながら声にした。


「えっと、女の人は藍君だけが見ている事と、藍君は女の人を見た時に、何か大事なことを忘れている気がするって言ってたし……」

「大事なこと、か。うーん……玉ちゃんが関係者とか?」

「や、俺の周りで失踪した人はいないっスよ。それと、玉ちゃんはやめてくださいって」


会長は、以前自分がつけた藍君のあだ名を再び使って。

それにきちんと反応する藍君は、なんかさすがだ。

にしても、失踪した人はいない、かぁ。

……あ、でも。

水樹先輩の話が本当だとすれば。


「忘れてしまってるだけかもしれないでしょ?」


存在自体がなくなるなら、いないと思うのも当然だ。

だから口にした言葉だったんだけど、藍君はちょっと呆れたように言う。


「普通そんなん忘れないだろ」

「でも、神隠しにあった人は存在が消えちゃうみたいだし」