「教頭が知る限りはそんな話はないって事だった」

「教頭って学園に何年いるんスか」


藍君の問いに、三重野先輩が少しの黙考の後、唇を動かす。


「6年ほど、だったかしら」


6年、ということは。

私はちょっどたけ前かがみになり、会長の隣に座る三重野先輩を見て言う。


「なら、それより前からいる先生なら知ってるかもしれないってことですね」

「あとは、僕らの親とかおじいちゃんたちの世代とか?」


頭上に瞬く星を見上げながら赤名君が提案すると、会長がひとつ頷いて。


「そうだな。とりあえず、聞き込み中心で動いてみようか」


そう言った直後、三重野先輩が「本格的にやるつもりなの?」と会長に聞く。


「オフコース!」

「誓ったじゃないですか! 学園の平和の為にー!」


何故かドヤ顔の会長と、拳を突き上げる赤名君。

藍君が「誓ってないし」と突っ込むと、赤名君はプゥッと頬を膨らませた。