「真奈ちゃん、演劇部の鍵もらえる?」
「えっと……はい、どうぞ」
水樹先輩の手に演劇部の鍵を乗せると、先輩は鍵穴に鍵を差し込んで、ゆっくりと扉を横に引いた。
本来なら各クラス以外のほとんど教室には鍵がかかっているけれど、そこも三重野先輩が何かで使うかもしれないからと鍵を使用する許可をもらっていたらしい。
本当に、三重野先輩は優秀な人だ。
会長も頭は凄くいいんだけど、そういうとこは抜けてるんだよね。
だから、会長と三重野先輩はバランスがいい組み合わせだと思う。
「お邪魔します」
そう言うと、水樹先輩は懐中電灯の灯りを部室内に向けて入っていた。
私も水樹先輩に続いて部室にお邪魔させてもらう。
演劇部の部室には、劇で使用されるのか様々な道具が置いてあった。
家庭に置かれているようなソファーやローテーブル。
ベッドまであって、さすが演劇部だと関心しながら見ていたら。
私の真横で──
何かが動いた。