「これ、ワタシが聞いた話しなんですけどね」


いつもより声を潜め、オカルト臭を漂わせる赤名君。

何故か"僕"ではなくなってるけど、なりきってるみたいだから、とりあえずそこは突っ込まないでおこう。


「学園には神隠しの噂があるんですよ」


敬語なのも気になるけど。


「それは、幽霊の仕業とも妖怪の仕業とも言われていましてね」


誰かの真似なのかも気になるけど。


「もしくは宇宙人だ、謎の組織が実験の為に人を攫っている、なんてものまであるんですが、実際のところは誰にもわかってないらしんですよ」


むしろそっちを気にして気を紛らわしていたんです、ワタシ。


「ただ、昨日までいた人が突然消えてしまう。死体すらない。不思議ですねー。怖いですねー」


そこで、赤名君はいつものニコニコ顔に戻る。


「って感じなんだってー」

「そ、そうなんだー」


幽霊にしても実験にしても、どれも怖い。