「神、隠し?」


私は確かめるように赤名君が声にした言葉を繰り返した。

すると、赤名君は口元を僅かに弓なりにする。


「あれ? モッチー知らない? 昔からまことしやかに噂されてるこの学園で起こる神隠しのこと」

「し、知らない」


あまり怪談系の話が得意ではない私は、少し怯えながら首を横に振った。

室内の様子から察するに、私以外の全員は知っているらしい。

水樹先輩が「知らなかったんだ」と意外そうな顔をする。

知らない人の方が少ないということみたいだ。

もしかしたら、私のクラスメイトたちも普通に知っているんだろうか?

私がちょっと怖がりだから伝わって来なかったのかもしれない。


そんな風に考えていたら、私が怯えているのに気付いているのかいないのか。

赤名君が神隠しについて語り始めた。