「教頭先生、他の先生方もお願いしますっ。せめて、飼い主が見つかるまでか、子猫たちが自分で生きていけるようになるまででいいんですっ」


けれど、返事はなく。

その時、私はふと、お母さんの事を思い出して……


「親を失うというだけでも、悲しいんです。苦しいんです。その痛みを抱えながら生きようとしている命に、未来をください」


お母さんが死んだ時。

私はまだ小さかったから、お母さんの事をたくさんは覚えていない。

でも、私を抱きしめてくれる優しい温もりと笑顔と、大好きだった気持ちは今でも残っていて。

お父さんやおじいちゃんから話を聞く限りでは、毎日お母さん、お母さんと泣いていたらしい。

寂しくて、会いたくて。

今でもそう思うけれど……


私を産んでくれて、今日という日を過ごせていることに感謝している。


「お願いします」


頭を下げたままもう一度懇願すると、会長も、三重野先輩も、藍君と赤名君も頭を下げた。
そして、その直後。